歩く

歩く

ゆっくりと想像してみます。

山を登っています。
富士山みたいな大きな山でもいい。
3才の子と登る小さな山でもいい。
自分にピッタリの山を思い浮かべます。
そして、その山を今、登っています。

風が、吹いています。
少し強い風。
びゅー。
おっと、帽子が飛ばされそう。
帽子を少し深くかぶり直します。

今日はいい天気。
全身で心地よい日射しを感じます。
ふと顔を上げて周りを見渡します。
どんな景色だろう?
深い森を通る山道?
ゴツゴツした岩肌の山道?
背の低い高山植物に混じって、
かわいらしい花もいるかな?
気持ちいいなぁ。
大きく深呼吸。
山の空気を味わいます。
うん、山の香り。

なんだかおなかが空いてきました。
そう、食事前。
リュックの中には山頂で食べるお弁当。
おにぎり弁当?
サンドイッチ?
特製ドーナッツ?
ランタンでカレーを温める?
ああ、おなか空いた。

でも、もう少し辛抱です。
山頂で山の反対側から登っている
親しい人と待ち合わせしてるんです。
ああ、楽しみ。
早く一緒にお弁当食べたいな。
ワタシの持ってきた特製おやつを渡したら、
どんな顔するかな?

ふと、山頂を見上げます。
もうすぐそこ?
山肌に隠れてまだ見えない?
今は何合目くらいだろう?
あとどれくらいで登れるかな。
背中にはじんわりと心地よい汗。

風が吹いています。
前からの風?
後ろからの風?
横からの風?
気まぐれに向きを変える?

ぼんやり想います。
この風はどこから来たの?
この風はどこに行くの?
くるくる向きを変えて、風って自由。
答えは風だけが知ってるって素敵な歌があったな。
遠くから歌が聴こえる気がします。

いいなぁ。
風は自由で。
・・・ワタシはどうだろう?
ワタシはどこから来たんだっけ?
ワタシはどこに行くんだっけ?
山を登り始めて山頂まで行く、
今はその途中。
ずっと先のことはぼんやりでも、
今、ワタシがどこから来て、
今からどこに行くかなら、
ワタシが知ってるなぁ。
答えはワタシの中?
自由ってなんだろう。
不自由ってなんだろう。

風が吹いています。
くるくるくるくる。
自由に吹く風。

ワタシは歩いています。
てくてくてくてく。
自分の思った道を自分の思った歩幅で歩くワタシ。
チョキンパチンストン。
今日も一日が始まります。

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